[福島祭り歳時記 作者のページ 私の本棚 このページは私個人の読後感を書いたもので、けして宣伝ではありません。装丁及び価格等のデータは購入時のものであり、現在は異なることもあります]

読書履歴

私 の 本 棚

最近の読了

 全くダメな高校の野球部に150キロの球を投げるピッチャーが転校してくる。あれよあれよという間に勝ち進みよもや、甲子園とみんなの夢は膨らむのだが、相手校の一言のヤジで、もろくも崩れ去る。すがすがしい高校野球の小説の中におにゃんこクラブをちりばめ、20年前の高校生はこうだったのかと思わせる、ユーモアーたっぷり、そしてエピローグではふっと笑わせる、作者の技量に感服しました。久しぶりに、読んでみたらと勧めたくなる青春小説でした。(11/30)

1985年の奇跡

五十嵐貴久 著

双葉社

¥1500

 山川健次郎は会津藩の家老山川大蔵の弟で白虎隊士には年齢が足りず、実戦には参加しなかったが凄惨な会津戦を目の当たりにしています。敗戦後、長州人奥寺謙介に助けられ学問を志し当時賊軍とされた会津にあってアメリカエール大に留学を果たし、後に東京大学教授を経て、東大、京大総長を務めます。また会津戦を詳しく描いた「会津戊辰戦史」を著しました。現在若松市に銅像の建築計画が勧められています。健次郎はその遺言の中で会津と長州の融和を望む事を言っているそうです。また著者は戊辰戦争の官軍・賊軍という一般的な歴史認識にたいし、一貫して会津藩の立場に立った歴史認識を示し、なおかつ現在の会津と山口について、正しい認識を持つように説いています。会津人の心を「山川健次郎」を通じて描いた一冊でした。

(11/25)

山川健次郎伝

星 亮一 著

平凡社

¥1800

薩摩の島津義久を主人公にし、関ヶ原の戦いのにおける石田三成を中心にした豊臣側と当時の会津・米沢(現在の福島県・山形県)の領主上杉景勝とのにらみ合いを。秀吉の朝鮮出兵から関ヶ原の戦いまでの間を描いた上編。読みごたえのある重厚な文章で表され、すらすらと読めるわけではないですが読みごたえ充分な一冊です。(10/1)

島津奔る

池宮彰一郎 著

新潮文庫

¥667

上杉藩下の福島城城代「本庄繁長」が伊達政宗を福島城下信夫山で打ち負かしたと言う、戦国時代末の関ヶ原の戦いの3年前に起こった「松川の戦い」を、福島市出身の著者が著しています。芭蕉が奥の細道の旅をして堀田氏が治める福島城下の旅籠に泊まり、宿の亭主から話を聞くと言う形で、物語が進行します。福島城は現在の福島県庁の所にあり、城の南側には阿武隈川、郭内の東端の曹洞宗の寺「長楽寺」は、我が家の菩提寺。福島商業高校3年間通った通学路の途中にある松川、現在は信夫山の北を流れている「松川」は当時信夫山の南を流れていたなど、地元福島市の人間にとってはまさに故郷の歴史にふれる、とっても興味深い読み物でした。現在主人公「本庄繁長」候の墓所が、福島市の長楽寺にあります。ちなみに芭蕉と曽良が泊まった旅籠は柳町にあった後の「油や旅館」と言う説と、現在の北町「松北園茶舗」の所にあったと言う説があります。(9/30)

奇 策

風野 真知雄 著

祥伝社文庫

¥619

1985年8月 日航ジャンボ機が群馬県雄巣鷹山に墜落し、乗客乗務員500数十名が死亡した事件は航空機墜落事故としては世界最大の犠牲者をだした事故であった。地元新聞の記者であった著者が地方紙記者の使命と葛藤を地方新聞社内の派閥争いを含めて描いています。事故の大きさにより異なる生命の軽重と新聞報道や「事故原因を圧力隔壁」といち早くとらえたにもかかわらず、結局大手新聞社にスクープされてしまう等、記者としての著者だから描けたであろう事故、そして家族の間の葛藤が主題となった重厚な小説でした。(9/26)

クライマーズ・ハイ

横山 秀夫 著

「デリシャス」と言う雑誌(15年4月で休刊)に連載されたエッセイ集。おいしいもの食べることにかけてのふたりの凄まじい熱意を文章にすると、こうなるのかと感心させられます。また表紙のような二人の変装写真も最高に楽しい。アニキスにかみつかれた話や、トリュフを探す檀家のラブラドールの話などが思わず微笑んでしまうような二人の叔母さん達の話がいっぱいです。(9/17)

太ったんでないの!?

檀ふみ/阿川佐和子 著

世界文化社

¥1300

 徳川慶喜の曾孫に当たる著者はフリーのカメラマン。ところが歴史はからっきしだめで、興味もない、という著者のエッセイ集。数年前NHK大河ドラマで「最後の将軍 徳川慶喜」を放映して、モックンが慶喜を演じていましたが、慶喜の評価は現在でもいろいろあるところ。曾孫の感覚では、徳川幕府を崩壊させ、日本を外国列強の侵略より守ったという1面のみを書いているこのエッセイは、慶喜の後半生について生き生きといきた慶喜を紹介していて、面白かったです。(9/15)

徳川慶喜家にようこそ

徳川慶朝 著

文春文庫

¥570

さらし系タレントと呼ばれるゴージャス松野氏は福島市の飯坂温泉の「千代本」と言う置屋の次男です。沢田亜矢子との離婚騒動でマスコミから総すっかんをくらい、あげくに裁判では夫婦間の営みまで法廷上に証拠提出するなどの話題で、とってマイナスなイメージを持っていました。ひょんな事からお知り合いとなり、つい先日カラオケを御一緒したりしました。著書は生い立ちから現在までをどん底からはい上がっていく様子が著されています。そして最愛の人、歌手田代純子との出会いから現在までを丹念に著しています。この人くらいマスコミにいじめられ、ゆがめられたイメージのひとは他にいるかな?精一杯生きている全力投球のような生き方が大変好感が持てます。読んでみて下さい。人の見る目がいかにマスコミに左右されるかが分かります。(8/06)

千代本3代目

松野秀行 著

モッツ出版

¥1300


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